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  • 執筆者の写真K.Matsui

あなたの誕生と目に見える世界

更新日:2023年4月30日

【誕生の記憶】


あなたは、生まれた時のことを覚えているでしょうか?

「覚えてる」という人もいれば、「生まれる前の記憶もあります」なんて言う人もいます。

少なくとも多くの人は「覚えていない」と答えるはずです。

あなたも、きっとそうでしょう。

何故でしょうか?


それは、あなたの経験を「記憶」するのに必要な回路の発達が不十分だったからです。

しかし、「記憶」ができなくても、「意識」がなかったわけではありません。

赤ちゃんだった、あなたは、その五感を通じて、様々な経験をしてきたはずです。

いいえ、その経験は、赤ちゃんより更に前の「胎児」の頃から、あるいは、もっと前から始まっているかも知れません。


夢をみている赤ちゃん

【あなたは、いつ誕生したのか?】


精子は卵子の中に入ると、動力となっていた鞭毛やミトコンドリアが消失し、23の染色体が残ります。

これと卵子の持つ同数の染色体が対になって受精卵が誕生します。

まだ単細胞ではありますが、このように「あなたの身体」は誕生しました。

たった一つの細胞であった「あなたの身体」は生まれる頃には3兆個を超える細胞を持つ多細胞生命体へと成長します。

それだけではありません。

「あなたの身体」は母親のお腹の中で、単細胞動物から海綿動物、魚類、爬虫類、そして哺乳類という生命史35億年の進化を、僅か10ヶ月で経験することになるのです。


細胞分裂が進むにつれ、食物から栄養分を吸収するための腸管が体の中を貫くように形成され、酸素を吸収するための組織群や各細胞への輸送路となるパイプライン、輸送動力源のポンプ、そして食物を体内へ取り込むための筋肉系も形成され、更に、これらの活動を調整するための神経系が張り巡らされていきます。

このように、「あなたの身体」は、多くの専門機能を持つ細胞群へ分化され成長します。


ところで、「あなたの身体」は着々と出来上がっていきますが、「あなた」はどの時点で誕生するのでしょうか。

前回お話した通り、「あなた」は「自我の領域」「意識の領域」「無意識の領域」から成り立っています。

この内「意識の領域」と「無意識の領域」を分けるものは「意識」の存在であり、このブログでは「意識の無い状態」をシンプルに「無意識」と定義します


そうなると、物質は全て「無意識」の状態にあると言えます。

量子には、その状態を表す情報がありますが、これも「無意識の領域」にある情報です。

そして、「あなたの身体」を構成する量子は、あなたが生まれる138億年も前から存在しています。


神経器官の情報は「無意識の領域」にありますが、神経器官は内外部環境からのインプット情報を「感覚」「統合」「処理」して各器官へ必要な指示をアウトプットする機能を持っており、この流れの一部の情報が「意識」として立ちのぼることになります。

つまり、神経器官の発達段階のどこかで、あなたの「意識」が誕生したはずです。

また、意識の連続的感覚であるところの「自我」(後に詳述します)の誕生は、あなたの記憶回路の発達を待たねばなりません。


このような段階を経て、「あなた」は誕生したのです。


【あなたが見ている世界は本物ですか?】


不思議だと思いませんか?

あなたは、その二つの眼球が格納された小さな窓からしか外界を見ることができません。

音も匂いも味も、自分の体内に、それらの情報が入って来ないと、その存在すらわからないのです。

あなたを取り巻く空気の温度や物も、それらが肌に触れない限り知ることができません。

そうです、あなたは、その小さな体の外側へ出ることはできないのです。


もしも、あなたの五感を全てシャットアウトされてしまったら、あなたの世界は消えてしまうのでしょうか?


いいえ、光の無い静寂な世界でも、あなたが何かを思考するかぎりにおいて、あなたの世界が消えることはありません。

何故なら、五感は、あなたに外部の情報を伝える器官に過ぎず、外部からのインプット情報が遮断されても、内部にいる「あなた」が即座にいなくなるわけではないからです。

とは言え、あなたには五感のインプット情報からしか、この世界を見る術はありません。


しかも、あなたの見ている世界は本物ではない。

例えば、視覚について考えてみましょう。

あなたの住む宇宙の空間は3次元でできています。

しかし、あなたが見ているのは目の網膜に結像した2次元映像です。

脳内で3次元映像に変換されるものの、「本物」ではなく、あくまで合成画像です。

また、人の視覚細胞は3種類しかないため、あなたが見ているのは「本物」の色ではなく、3原色で編集された合成画像なのです。

他の感覚器官においても、視覚と同じように、「本物」を単純化させて脳に伝えています。


あなたは、このように簡素化された外部情報を用いて脳内に自分なりの「世界」のモデルを構築しています。

このブログでは、このモデルのことを「脳内世界モデル」と定義します。

この「脳内世界モデル」は、五感から得られる外部情報によって、常に更新されます。

つまり、あなたが五感を通して見ているのは「脳内世界モデル」であって、「本物」の世界ではないのです。


しかし、悲観することはありません。

「五感」という身体的限界を超えて、あなたは様々なものを理解することができます。

例えば、目には見えない分子や原子、地球の内部構造、何万光年も離れた惑星の組成、あるいは、あなたの住む宇宙の始まりの瞬間までも、あなたは「思考」することができる。


重要なのは、あなたが日頃「当たり前」だと思っている、その世界は、「あなた」を通して見ている「あなた」だけの世界だということ。


ある有名な小説の一節です。


「とても簡単なことだ。

 物事は心で見なくては、よく見えない。大切なことは、目には見えないんだよ。」

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