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執筆者の写真K.Matsui

デコヒーレンスの正体

更新日:2023年4月30日

【デコヒーレンスの一般的理解】


「あなたの住む宇宙」は時空と量子で構成されています。

量子は複数の「波」のように振舞う特性を持ち、「波」同士の干渉のしやすさをコヒーレンスと呼ぶ。

そして、「波」の間に位相の乱れが無い場合をコヒーレント状態と呼ぶ。

そして、コヒーレント状態にある「波」としての量子が環境との相互作用によって干渉性を失い収縮することをデコヒーレンスと呼び、その状態をデコヒーレント状態と呼びます。

この「環境との相互作用」のことを「観測」と呼んでいます。


本来、世界を構成する量子はコヒーレント状態にあって、このコヒーレント状態を壊すデコヒーレンスは「観測」によって引き起こされます。

「観測者」は人でも、装置でも、量子でも構いません。

何故なら、デコヒーレンスは「新たな量子もつれ」の発生を意味すると考えられるからです。

「量子もつれ」とは任意の量子Aの状態が決定すると瞬時に、この量子と強い相互関係にある、量子Bの状態も特定されるという量子の特性です。

「新たな量子もつれ」が発生することによって、それまで量子が持っていた量子情報が失われるためデコヒーレント状態に移行する。


ちなみに、デコヒーレンスを食い止めるには観察対象である量子の数を極力少なくする、あるいは量子の動きを止めるために環境温度を絶対零度に下げる必要があります。


以上が、「デコヒーレンス」に関する一般的な説明です。

これは証明されている事実ではありますが・・・。

この説明には、何か大事なピースが抜け落ちてるように感じませんか?


物の存在を意識する人

【あなたの中で働く量子特性】


ところで、植物の行う光合成においては、葉緑体の中で「光子」から得た電気エネルギーを、その反応中心まで移送する際に最もロスの少ない経路を特定する手段として量子特性を用いています。


これと同じことが、動物の呼吸鎖や鳥類などの持つコンパス機能をはじめ、多くの生命体の機構で確認されています。

そう、「あなた」の生命活動も量子特性が支えているのです。

つまり、量子の特性は生命の存続にとって必須のシステム。


量子の特性が絶対零度の厳重に管理された箱の中でしか起きないのであれば、「あなた」の体の中で今も起こっている量子の働きは、どう説明したらいいのだろう?


何かが間違っているようです。


【あなたの中にあるデコヒーレンスの正体】


前回、お話した通り、このブログでは、「波」は数量的に無数に存在する宇宙の「重ね合わせ状態」を表すものとしていました。

つまり、コヒーレント状態。

また、「波」の収縮は、様々なパターンの宇宙の中で、観測者が存在する一つの宇宙が決定されることです。

つまり、デコヒーレント状態。

そして「量子もつれ」は、量子Aの状態が決定すると瞬時に量子Bの状態も決定されるという量子特性でした。


よく考えてみましょう。

コヒーレント状態は無限のパターンを持つ無数の宇宙達の重ね合わせの状態。

その無数のパターンの内の一つだけしか見れなくなる過程がデコヒーレンス。

「量子もつれ」に登場した量子ABの状態が「決定する」ということは、既に無数のパターンの内の一つしか見れなくなっている、つまりデコヒーレンスであることを意味しています。

つまり、「量子もつれ」を観測する過程が既にデコヒーレンスであり、「量子もつれ」そのものがデコヒーレンスを引き起こしているわけではないのです!

例え「新たな量子もつれ」が発生しても、それが「観測」されるまでは、「新たな量子もつれ」が発生しないパターンの宇宙と「重ね合わせ」のコヒーレント状態が保たれており、その量子情報が失われることはないでしょう。

よって、デコヒーレンスを引き起こす原因は「新たな量子もつれ」の発生ではなく、あくまで「観測」そのものにあることになります。


そうなると、話は元に戻ります。

あらためて「観測」とは何か?


観測には「観測される対象」と「観測する主体」が必要です。

これは相対的な関係です。


もしも、量子AまたはBが「対象」または「主体」となった場合には、このAB間でデコヒーレンスが起きますが、対象・主体関係の外側から見ればコヒーレント状態のままです。


次に、量子ABを「対象」として、この外側にあるものが「主体」となる場合には量子ABと外側にあるものの間でデコヒーレンスが起きますが、更にその外側から見ればコヒーレント状態のままです。


次に、量子ABと外側にあるもののセットを「対象」とし、更にその外側にあるものが「主体」となった場合には・・・延々に続く。


確かに「観測」という行為の主体は量子でも装置でも構わないでしょう。

しかし、「観測」という行為が意味を持つためには、観測主体が観測の結果を、それと認識する必要があります。

量子や装置が観測の主体であった場合、観測結果を物理状態として保存しますが、それは認識することとは異なります。

例え、量子や装置が観測したとしても、その観測結果の最終的な認識をするのは「意識」以外にないのです。

意味のある「観測」をすることができる主体は結局のところ「意識」ということになります。


つまり、デコヒーレンスの原因は、「あなた」の中にある「意識」です。

ただし、「意識」が何らかの世界を創造しているのではありません。


本来、「重ね合わせ状態」である世界。

その内側にある物理現象たる生命が持つ「意識」は、その機能上、たった一つの宇宙しか見ることができないように作られているのです。

このような「制限のある意識」が「重ね合わせ状態」の宇宙を見ようとするときの視座。

それがデコヒーレンスの正体です。

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