【現実世界と可能世界】
現実世界とは、「あなたの住む宇宙」のことです。
可能世界とは、論理的に存在可能と考えることができる世界のことです。
中世の思想家たちは「神は全ての可能世界の中から一番良いものとして、この現実世界を選択した」と言います。
量子力学が現在のようなコンセンサスを得る以前のアインシュタイン的世界観においては、宇宙誕生の瞬間から、その宇宙の全歴史は必然的に決まるという「決定論的宇宙」が支配的でした。
つまり、「神はサイコロを振らない」。
しかし、「量子ゆらぎ」の発見により、未来は「ある種の偶然性」に支配されると考えられるようになりました。
果たして、神はサイコロを振ったのでしょうか?
【サイコロを振ったのは誰か?】
つまり、「あなたの住む宇宙」は、今この瞬間までは現実世界ですが、ここから先はいずれかの可能世界が偶然に選択されていく。
なにか複雑な感じがしませんか?
思うに、自然はシンプルです。
複雑であることは「何らかの誤り」を含んでいるシグナル。
よく考えてみましょう。
「あなたの住む宇宙」の未来が、偶然的に選択される、いずれかの可能世界にあるとするなら、その可能世界は未来における現実世界ということになるでしょう。
そして、それが偶然的に選択されるものなら、当然に他の可能世界へ進む選択肢もあることになります。
何故なら、その選択は「必然」なのではなく「偶然」なのですから。
そうであるなら、全ての可能世界は現実世界となる可能性を当然に持っています。
そして、可能世界と現実世界を分けるものは「あなたの存在」です。
そう、サイコロを振ったのは「あなた自身」に他なりません。
【特別なものは無い】
現実世界は、「あなたの住む宇宙」ですが、他の宇宙に住む人からすれば、そこが現実世界と考えるでしょう。
つまり、どの宇宙が現実なのかは相対的にしか決定できないということです。
現実世界も可能世界も、同じカテゴリーにある同等の宇宙に過ぎません。
「0」から紡ぎ出される数量的に無数の決定論的宇宙(トータルでは常に0)が実在する。
その中で、「あなたの住む宇宙」の視座からは、いや、もっと正確に言うならば「あなたの視座」からは、それが「無数のゆらぎ」に見えている。
「あなた」自身も、「あなた」が「これこそが現実世界」だと思っているこの宇宙も、決して特別なものではないのです。
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